外国籍の相続人がいる相続でもスムーズに不動産の名義変更ができた事例
状況
今回ご相談に来られたのは、長男のAさん。お母様が亡くなられたことに伴い、相続手続きを進めた
いとのご希望でした。被相続人であるお母様は日本国籍で、生前は日本国内に不動産を所有されていま
した。相続人は、お母様の配偶者である外国籍のご主人と、日本国籍の長男Aさん、そして同じく日本
国籍ながら現在海外に居住されている長女Bさんの3名です。Aさんは、ご家族の間で「不動産について
は長男である自分が相続する」ことで合意ができているとのことで、不動産の名義をAさんに変更する
登記手 続きを希望されました。しかし、いくつかの注意点があるケースでした。
まず、ご主人が外国籍であること。外国籍の相続人であっても、日本にある不動産を相続する権利は
日本の法律に基づいて認められています。ただし、登記申請の際にはご主人の戸籍に代わる証明書が必
要となり、その準備には一定の時間がかかります。
次に、長女Bさんが海外に住んでいること。相続登記に必要な「遺産分割協議書」には、相続人全員
の署名と押印が必要です。さらにその実印が本物であることを証明するための印鑑証明書が通常は求め
られますが、海外居住者の場合、日本の印鑑登録制度を利用できないため、「在外公館(領事館)での
署名証明書」を用意する必要があります。この書類の取得にも時間がかかる場合があります。
これらの手続きに不安を感じたAさんは、当事務所にご相談いただきました。
当事務所からの提案&お手伝い
当事務所では、各相続人の状況に応じて必要な書類の案内を行い、英語での説明文や書類見本も提供。
特にご主人や長女Bさんに向けて、分かりやすい説明文を準備したことで、スムーズにご協力を得るこ
とができました。
結果
結果として、相続人3名の協議により不動産をAさんが単独で取得する内容の遺産分割協議書を作成
し、無事に相続登記を完了することができました。登記完了後には、「これで将来に向けて不安がな
くなった」とAさんも安堵の表情を見せてくださいました。
外国籍や海外在住の相続人がいる場合は、書類の手配や所要期間などに特有の注意点がありますが、
専門家のサポートを受けることで安心して手続きを進めることが可能です。複雑な相続でも、事前に
しっかりと準備をすれば、円満に解決することができます。