認知症の方の遺言は無効?相続で家族が揉めないために知っておくべき3つの生前対策
「親が認知症になったけど、遺言書は書けるのだろうか?」
「もし遺言書がなかったら、相続で家族が揉めるのでは…?」
ご家族に認知症の方がいる場合、遺言や相続に関する不安は尽きないものです。特に、財産管理や遺産分割が困難になるのではないかと心配されている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、認知症の方の遺言が無効になるケースとその理由、そして家族が揉めないために知っておくべき3つの生前対策「遺言」「任意後見」「家族信託」について、司法書士がわかりやすく解説します。
認知症の方の遺言はなぜ無効になることがあるのか?
遺言を作成するためには、遺言の内容を理解し、自分の意思で判断できる「遺言能力」が法的に必要とされています。民法第963条には「遺言能力」に関する明確な規定はありませんが、一般的に意思能力があることが前提とされています。
認知症の症状が進み、この遺言能力がないと判断された場合、たとえ遺言書を作成しても法的に無効となる可能性があります。遺言の有効性をめぐって家族間で争いが起きた場合、最終的には裁判で判断されることになります。
遺言能力の有無を判断するポイント
・自身の財産の種類や範囲、相続人となる家族の関係性を正確に理解しているか。
・誰にどの財産をどれだけ渡すのか、その内容を自分で判断し、一貫した意思を表明できるか。
遺言書作成時の医師の診断書や、公証人とのやり取りの記録などが重要な判断材料となります。
遺言能力は、常に一定のものではありません。
軽度の認知症であれば遺言能力があると判断されることもありますが、症状が進行すると遺言能力を失う可能性が高まります。
もしご家族が認知症の診断を受けている場合は、症状が軽いうちに遺言書を作成しておくことが極めて重要です。
特に公正証書遺言は、公証人が遺言能力の有無を確認するため、有効性が高く、後の相続トラブルを避けることができます。
認知症になる前に検討すべき3つの生前対策
遺言能力を失った後では、遺言による相続対策は難しくなります。しかし、遺言以外にも家族の安心を守るための方法はあります。ここでは、代表的な3つの生前対策をご紹介します。
対策① 遺言
遺言は、自分の財産を誰にどのように渡すかを明確にする最も一般的な相続対策です。
遺言書があることで、遺産分割協議が不要となり、スムーズに相続手続きが進められます。
メリット
・自分の意思で財産の配分を自由に決められる。
・遺言執行者を指定することで、相続手続きを円滑に進められる。
・公正証書遺言であれば、公証人が関与するため有効性が高く、紛失や偽造のリスクが少ない。
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デメリット
・本人の遺言能力が必要。認知症の症状が進むと作成できない。
・自筆証書遺言は形式不備で無効になるリスクがある。
対策② 任意後見制度
任意後見制度は、本人の判断能力が十分なうちに、将来の生活や財産管理を任せる人を自分で選んでおく対策です。
任意後見契約を結んでおけば、将来認知症などで判断能力が不十分になったときに、家庭裁判所が選任する任意後見監督人の監督のもと、任意後見人が本人の代理人として契約どおりの財産管理や手続きを行います。これにより、本人の財産が守られ、安心して老後を送ることができます。
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メリット
・本人が信頼できる人(子や配偶者など)を任意後見人として指名できる。
・財産管理だけでなく、介護や医療に関する契約も任せられる。
・法定後見制度とは異なり、本人の意思が尊重される。 -
デメリット
・契約から効力発生までにタイムラグがある。
・任意後見監督人への報酬が必要となる。
対策③ 家族信託
家族信託は、特定の財産(不動産や預貯金など)を信頼できる家族(受託者)に託し、本人(委託者)に代わって管理・運用してもらう対策です。
家族信託契約を結ぶことで、本人が認知症になっても、財産が凍結されることなく、家族が柔軟に管理や売却を進めることができます。例えば、信託財産から生活費を捻出したり、介護施設の費用を支払ったりすることが可能です。また、本人が亡くなった後の財産の承継先まで指定できるため、二次相続まで見据えた相続対策としても有効です。
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メリット
・柔軟な財産管理が可能となり、不動産の売却やリフォームなどもスムーズに行える。
・二次相続以降の承継先も指定できる。
・成年後見制度に比べて、裁判所の関与が限定的である。 -
デメリット
・契約内容が複雑で、専門知識が必要となる。
・信託した財産によっては、登記などの手続きが必要。 -
まとめ:あなたの状況に合わせた最善の対策を
認知症になる前の生前対策は、ご家族の安心と円満な相続を実現するために不可欠です。しかし、どの対策がご自身の状況に最適か判断するのは難しいものです。
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遺言:元気なうちに財産を整理しておきたい方、シンプルな相続を望む方
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任意後見:将来の判断能力の低下に備え、信頼できる人に財産管理を任せたい方
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家族信託:不動産などの特定財産があり、より柔軟かつ長期的な財産管理を家族に任せたい方
上記3つの対策は、それぞれ異なる特徴と適した状況があります。ご自身の状況やご家族の希望によって、最適な対策は異なります。「まだ先のこと」と思わずに、まずはご家族の状況や財産内容を整理し、専門家へ相談することから始めるのが最善の方法です。
当事務所では、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、遺言、任意後見、家族信託の中から、最も適した生前対策をご提案します。複雑な手続きも、専門家である司法書士が代行することで、安心して準備を進めることができます。
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